『女の園』 ■■■

監督:木下恵介

イデオロギッシュな学園闘争を女子大を舞台に描いてしまうという倒錯的な設定が良い(男はみなどこかナヨっとしているのだ)。生徒間で「〜様」と呼び合うのがまた何とも(笑)。寮母を演じる高峰三枝子が素晴らしい。その憎憎しいまでの冷徹ぶりは『カッコーの巣の上で』のルイーズ・フレッチャーにも引けを取らない。久我美子岸恵子との舌戦は迫力十分だ。唯一高峰秀子だけがメロドラマ的役割(田村高廣との別れのシーンのカットバックは忘れ難い)を担うが、その女性らしい弱さと孤立性故に悲劇的な結末を迎えることになる。「ベーゼだけでも許してくれよ」や「ロマンチック性の神経衰弱」など時代を感じさせるセリフも印象的。映画館では『バンドワゴン』が上映されている。