『吸血鬼ノスフェラトゥ』 ■■■□

監督:F・W・ムルナウ

マックス・シュレック演じる吸血鬼の造形の圧倒的なインパクト!不気味なだけじゃないところがミソで、昼間の街を棺桶担いで足早に歩くシーンはかなりお茶目だったりする。吸血鬼がヒロインの家の向かいの家(窓だらけの異様なデザインが秀逸)に引っ越してくるという展開は、トリュフォーの『二十歳の恋』のアントワーヌ・ドワネルみたいで妙に可笑しかった。また、手鏡に主人公の口元が映るシーンは『ミツバチのささやき』の血で口紅を引くイサベルが重なる。ムルナウはエリセが最も敬愛するシネアストなので、イサベルの口紅シーンはノスフェラトゥをイメージしていたのかも。

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盤質。画質はまずまず。キズや白点ノイズが目立ちますが、解像度や階調表現は悪くありません。セピア版と白黒版(一部染色)の2バージョンが収録された2枚組み。映写速度も適切に調整されているらしく尺は92分ありました(allcinemaでは62分表記)。ART ZOYDによる劇伴音楽は正直ウルサ過ぎかなぁという感じ。音声はこれとコメンタリー(セピア版ディスクのみ収録)しか選べないので劇伴音楽なしで視聴する場合はボリュームを0にするしかありません。特典は予告編2種(『吸血鬼ノスフェラトゥ』DVD版予告と『シャドウ・オブ・ヴァンパイア』の予告)、解説映像2種、テキスト資料2種(『ヴァンパイアの起源』と『ノスフェラトゥ論争』)が収録されています。