『子猫をお願い』 ■■■□

監督:チョン・ジェウン

フェリーニの『青春群像』が突如韓国で、瑞々しいガーリームービーとなって蘇生してしまった。登場する5人の女優はみな良いけれど、役の人物に完全に同化したかのようなペ・ドゥナの自然な存在感にはとりわけ瞠目させられた(飲食シーンがまた魅力的なのだ!)。主人公たちの描写の背後にさりげなく映し出される工業プラントや高架道路下のバラック群や市井の人々の働く姿などの情景が印象に残る。携帯メールやタイプライターで打たれたハングル文字が画面上にデザイン的に配置される演出も女性ならではの感性を感じさせて面白かった。ほぼ同年代で、同じ年に「猫」が出てくるガーリームービーの処女作を撮った井口奈己と共に今後注目したい女性監督の一人だ。