『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ!夕陽のカスカベボーイズ』 ■■■□

監督:水島努

あの傑作『クレしんパラダイス』の水島努だけに西部劇のパロディとオマージュてんこ盛り!というのを期待していたが、残念ながらそっちの見所は序盤のサルーンでの大乱闘や"荒野の七人"登場シーン、聴き所はネネの「カンバ〜ック!」と風間の「ペキンパー!!」(字幕では「ベキンバー」になってたけど^^;)ぐらいだった。馬と銃とカウボーイのディテールが中途半端で、床屋の描写がないのも不満。ただメタ映画の構造は面白いし、何と言っても後半のやたらめったら動きまくるパワフルなアクション・シーンが圧巻の一言。前半がユルユル(意図的な演出)なだけにそのアンバランスさは強烈だ。虚構の世界なのをいいことに、カスカベ防衛隊がスーパーヒーロー的荒唐無稽さで暴れまくる様は痛快極まりない。「かよわい美少女」という記号的ヒロイン像でしんのすけ(=観客の象徴)を虜にしてしまうツバキ(=銀幕ヒロインの象徴)、映画を終わらせまいと必死にあがくジャスティス、映画オタクのマイク(水野晴男本人に演じて欲しかった)などキャラクターも良い感じ。