『「もののけ姫」はこうして生まれた。(「第2章〜生命が吹きこまれた!」)』

監督:浦谷年良

いや〜面白い面白い。鈴木敏夫のパート(糸井重里のコピーについての往復FAXとか宣伝会議など)も興味深いけれど、やはりマジマジと見入ってしまうのは宮崎駿の創作風景だ。出るわ出るわ名言、珍言、奇行の数々。手に無数のピップ・エレキバン(&湿布薬)をはりながらペンを走らせる姿(「人間が線を引ける限界は地球7周半ぶんの長さ。僕はとっくに超えているけど」。先日のNHKドキュメンタリーでは手が衰えて筆圧がなくなり、若い頃はHBだった鉛筆が今では5Bになったと語っていた)。最後の場面での言葉が印象に残る。「本当に思うけど、趣味を持ってる奴はダメですね。全部アニメに吸い取られてしまった人間でないと。もちろん、好きなものとかそういうものがあってもね、全部アニメーションの中に吸収されないとね。(中略)絵を動かすことによって欲求不満を晴らしていく人間じゃないと。・・・それでウチに帰ったら子どもがいつの間にか大きくなってたっていう生活を僕が送っちゃったもんだから(笑)」。これを聞いて、少し前に放送された「NHK ラストメッセージ 手塚治虫」を思い出した。手塚治虫も家族そっちのけで仕事に耽溺した人だ。奥さんは「そんなに仕事が好きなら何故結婚なんかしたんでしょうねえ」と穏やかな表情で語っていたっけ。