『ドラえもん のび太の新魔界大冒険 7人の魔法使い』 ■■■

立川シネマシティにて。観客数はキャパ(226席)の半分くらい。

監督:寺本幸代

プロットはオリジナル版とほぼ一緒だが、本作ではヒロイン・美夜子の母親が登場し、親子愛をテーマにした物語になっているのが大きな特徴。そのためオリジナル版にあった恐怖映画的なニュアンスはほとんど失われている。また絵柄については女性キャラがあからさまな"萌え"路線で、のび太のママでさえも眼鏡を外した素顔のシーンで萌え演出が入っているという徹底ぶり。しずかと美夜子の髪をめぐる会話や描写なども印象深く、全体的に女性監督ならではのフェミニンな雰囲気が漂うドラ映画としてはかなり異色の作品になっている。その意味でも美夜子と母親の別れが感動のクライマックスとして描かれ、オリジナル版での泣かせどころだったのび太と美夜子の別れのシーンがエンドクレジットにセリフなしの静止画という演出であっさり描かれているのは象徴的だ。要するに本作ののび太は完全に脇役なのである(美夜子はしずかと友情を育んでしまう!)。個人的にはオリジナル版の方が好きだが、これはこれで良く出来ていると思う。尺がちと長いが。