『潮騒(1954年版)』 ■■□

監督:谷口千吉

映画化された最初の『潮騒』。オーソドックスな作りで凡庸と言えば凡庸だがバランス良くまとまっている良質の純愛映画だった。主演の久保明と青山京子は素朴かつ品があり爽やかで好感が持てる。有名な「その火を飛び越してこい!」のシーンはかなりあっさりした演出なのだが、十代の男女が裸同然の格好で抱擁し合うだけに公開当時はかなり話題になったのではないだろうか。後半、東野英治郎がチョイ役で登場し、いつもの素晴らしい笑顔を見せてくれる。