『湖のランスロ』 ■■■□

監督:ロベール・ブレッソン

音が暴力的。反復描写も暴力的。それが終盤の馬上での騎士同士の会話シーンで突如ユーモアに転化する。いや別に可笑しくも何ともないのかもしれないが、なぜか笑ってしまった。多分カッティングのリズムと騎士たちの「ある仕草」のせいだと思う。これは言葉では説明しても意味がないので映画を見てもらうしかない。暴力的と言えば省略も強烈だ。贅肉どころか筋肉まで削ってしまったようなガリガリの映画的文体。おかげでどういう物語なのかさっぱり分からなかった。だからと言って詰まらなくはない。というかむしろ面白い。不気味で可笑しい細部が沢山あるのだ。

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盤質。S/Nが甘いが、解像度、発色ともに良好。PAL/NTSC変換マスターだが、素材の出所はよく分からない。特典はオリジナル予告編のみ。ブックレットに収録されている細川晋の作品解説に「騎士の甲冑は全てブラスチック製だった」と書いてあって驚く。やはり音響の効果というのはすごい。