『眠狂四郎円月斬り』 ■■■

監督:安田公義

強がる女の着物を刀一閃で切り裂き、裸に剥いたその直後に見せる雷蔵の薄ら笑い。これにはシビれた。下衆なことをしているにも関わらず少しもいやらしくなく、むしろ美しいとさえ思えてしまうところが市川雷蔵という役者の凄さだ。階段を駆け下りてきたヤクザ集団が、階段を上がってきた狂四郎にすれ違い様、踊るようにたたっ斬られていく「座頭市」のようなユニークな殺陣がある。貧乏侍・寄居勘兵衛との対決シーンも良い。大映ローテーション監督の職人技を堪能。