福井晴敏機動戦士ガンダムUC 6』読了 ◎

ブライト・ノアがついに始動。目玉は「ドバイの末裔」が駆る水陸両用の巨大モビルアーマーシャンブロ。序盤の対潜水艦の戦闘描写は福井晴敏にしか書けまい。そして後半のダカール単独侵攻の圧巻というしかない戦闘シーン。これほどの緻密さとスペクタクルに満ちたガンダム・バトルは全シリーズ中でも稀有のものだろう。アニメ化の際にどこまでこの興奮が再現されるか楽しみである(というか御大が切ったコンテで見てみたい!)。主人公バナージもひと皮剥けて、よりキャラクターに厚みが増した。特筆すべきは、ネオ・ジオン残党組織「袖付き」の軍人・ジンネマンとの関係だろう。サハラ越えという極限状況の中での二人の濃密なやりとりが素晴らしい。細かい心理描写などは小説ならではの楽しさである。少年の成長を促す強烈な個性と父性を持ったオヤジキャラ。そうジンネマンとバナージには、1stガンダムランバ・ラルアムロが重なるのだ。おそらくジンネマンは死ぬ運命にあるキャラクターだと思うが、これだけ血が通った造形がなされているキャラだけに、そのシーンはきっと涙無しに読むことはできないだろう。デルタプラスを駆るリディ・マーセナスもいよいよキャラが立ってきた。ちなみに今回ミネバは空気。黒いユニコーンガンダムに乗ったマリーダ・クルスが登場したところで終了。ぐわ〜早く続きを買わねば!!!