『エル・スール』 ■■■■■

監督：ビクトル・エリセ

下高井戸シネマのレイトショーにて。観客の数はキャパの3分の一くらいか。鮮度の高い映像だったのでおそらくニュープリント版だろう。フィルムで見るのは「BOW30映画祭」以来だったが、やはり素晴らしい。素晴らしいのだから素晴らしいとしか言いようがないわけで、もうこの映画に関しては他の言葉など必要ない。演出の信じ難い聡明さ、クローズアップの比類なき美しさに体中が震えた。切実に思う、エリセに好きなようにメロドラマを撮らせるプロデューサーが現れないものか、と。これほど偉大な演出家が長編を三本しか撮っていないというのはあまりにもあまりな話ではないか。世界中の映画人はいったい何をしているのか。もう一度言う、いや叫ぼう、今すぐビクトル・エリセに映画を撮らせるべきであるっ！！！！はあ、空しい・・・。