『エリザベスタウン』 ■■■

監督:キャメロン・クロウ

脚本的にいろいろと小細工を弄してはいるが、恋愛ドラマでも人間ドラマでもない中途半端な、しかし決して退屈なわけではない、奇妙な緩慢さで進行していく"ドラマらしきもの"の感触がユニークだった。キルスティン・ダンストが演じるつかみ所がないヒロイン造形が良い。そんな彼女に惹かれつつ、やんわりと振り回されるオーランド・ブルームの曖昧な笑顔もなかなか魅力的だ。やはりキャメロン・クロウの映画に登場するカップルは好感が持てる。ブルームがアメリカ南部を横断ドライブする終盤のシークエンスが心地良かった。勿論そのバックには絶え間なく監督お気に入りのロック・ナンバーが流れているのだ。単純に面白いという映画ではないが、爽やかな気持ちの良い余韻が残る佳作である。

エリザベスタウン スペシャル・コレクターズ・エディション [DVD]

エリザベスタウン スペシャル・コレクターズ・エディション [DVD]