『団鬼六「黒い鬼火」より 貴婦人縛り壺』 ■■■

監督:小沼勝

キ○ガイ大地主(高木均の怪演!)の元に身売りされた谷ナオミが、陵辱に次ぐ陵辱によってM女としての本性に目覚めていくというマットウなSM映画。そんなわけで特筆すべきはやはり谷ナオミの被虐シーンである。巨大な首枷をはめられたり、緊縛状態で馬に乗せられたり、庭に張り付け(しかも赤褌一丁)にされたり、スカトロ・プレイを強要(床に漏れ落ちるオシッコの量の過剰さ!)されたり、貞操帯ならぬ貞操縄を付けられたり、とまさにやりたい放題。暴風雨の夜にわざわざ庭の木に縛りつけ、オッサンたちが寄ってたかって谷ナオミの身体をなぶるシーン(泥を擦り付けたりもする)に至っては、そのあまりのムチャクチャっぷりに呆れるを通り越して笑ってしまったほどだ。表情と所作のアートとも言える「忍耐の官能美」もこれら常軌を逸したヘンタイ・プレイの数々にやや霞んでしまった感あり。しかし、これだけ露骨なSMモノでありながら、田舎の旧家を舞台に展開していく本作には重厚な映画美の世界をしっかりと感じさせる。小沼勝の卓越した映像感覚と日活の職人たちの確かな技術。ロマンポルノは紛れもなく「映画」なのだ。