『愛欲の罠』 ■■■

監督:大和屋竺

いわゆる「呪われた映画」としてカルト化している作品。ハードボイルドではあるが、雰囲気はアメリカン・ニューシネマ的(さすらう主人公、ロケ撮影メイン、寂寥感)、しかも堂々たるポルノである。スナイパーの殺し屋を演じる荒戸源次郎のイイ加減に見えて、実はかなり自分に酔って演技している感じがウザ微笑ましかった。女優陣が実に魅力的だ。前半は絵沢萠子が二度殺される情婦を好演。ムッチリとした熟女の色香ムンムンで素晴らしくエロい(顔はオバサンなのに←失礼)。彼女が画面上だと射線軸は完全に横方向であるにも関わらず、何故か正面からスナイプされて倒れるシーンには笑った。こういう出鱈目さは嫌いではない。後半では安田のぞみがちょんの間の娼婦をアッパレな痴女っぷりで熱演している。こちらは万年床の薄汚れた狭苦しい部屋で荒戸源次郎とひたすらファックしまくる描写が秀逸だ。荒戸を狙う謎の殺し屋の、腹話術師と人形の関係を逆転させた奇抜な造型もネタがバレバレとは言え面白いアイディアだと思う。ラストは賛否が分かれそうだ。虚構の物語としての終止符をきっちり打ったとも言えるし、安直なメタ化でお茶を濁したとも言える。まあ作品全体のトーンを考えれば前者寄りに解釈するのが妥当だろう。一見の価値ある佳作だった。

愛欲の罠 [DVD]

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