『女地獄 森は濡れた』 ■■■


監督:神代辰巳

冒頭、トンネル内をぼんやり歩く伊佐山ひろ子の後姿を捉えたキャメラが後ろへと移動してそのまま車中の中川梨絵へと繋がるショットで良作の予感。閉じられた世界で展開される暗黒のエロティック・ファンタジー神代辰巳の大胆な演出と前田米造のローキーが冴えわたる。おかっぱロングの伊佐山ひろ子が素晴らしかった。この時代の彼女が、つげ義春「もっきり屋の少女」のコバヤシチヨジを演じていたら、と思わず妄想してしまう。あるいは山本直樹の漫画のヒロインを彷彿させる魂が抜けたような空虚な表情と棒読みセリフの魅力。最後の「ゴンドラの歌」はいかにも神代らしい挑発的で過激な音楽の使い方だ。