こうの史代この世界の片隅に 上・中・下』読了 ◎

読み終わって、しばし放心状態。太平洋戦争の時代、広島の呉に嫁いだ、北條すず、という女性を通して戦時下における家族の日常と夫婦の営みを淡々と描いたホームドラマ。ほのぼのと緩やかに、しかし、だからこそ際立つ戦争の悲惨さと平和の重み。。。戦争体験者がすべてこの世を去ったとしても、この漫画があれば大丈夫。家族の絆が、人間の愛が、どんなに希薄化しようと、この漫画があれば大丈夫。と臆面もなく声高に叫びたくなるような、本当に、本当に素晴らしい作品だった。「この世界の片隅に」、これは作品の最後の方で、すずが発するセリフだけれど、その後に続く言葉の重み、そこには「生きる」ということのほぼすべての意味が集約されていると感じた(これはあくまでも個人的な主観です、念のため)。悲しいかな、今は半分も実感することができない。でも、いつかは自分も堂々とその言葉を発することができたらな、とは思う。生涯手元に置いておきたい本がまた増えた。こうの史代さんに心からありがとうと言いたい。少しだけ賢く、少しだけ優しくなれたような気がします。皆さん、ぜひ一読あれ。

この世界の片隅に 上 (アクションコミックス)

この世界の片隅に 上 (アクションコミックス)

この世界の片隅に 中 (アクションコミックス)

この世界の片隅に 中 (アクションコミックス)

この世界の片隅に 下 (アクションコミックス)

この世界の片隅に 下 (アクションコミックス)