『わ・れ・め』 ■■■

監督:堀禎一

弁当屋の人妻』同様、濡れ場は"ピンク映画"としての体裁を保つための添え物的扱いに過ぎず、息の長いキャメラで淡々と静かに夫婦の危機と修復を描いた小品に仕上がっている。チョコボール向井のプロレスシーンが60分という限られた尺の中でじっくりと丁寧に描写(迫力もある)されているのが、何とも大胆な編集だな〜妙に感心した。ところで堀禎一の作品には小人症の常連俳優がいて、『草叢』では工場のオーナー、『弁当屋の人妻』ではデリヘルの社長、本作では一升瓶を持ったホームレスの役で登場し、ユーモラスな独特の存在感で印象に残る。唐突に始まり、唐突に終わるのが良い。画面の雰囲気といい、この監督はカサヴェテスが好きなのではないかと感じた。