NHK総合『立花隆 思索ドキュメント がん 生と死の謎に挑む』を見る

「この取材をしてきて私が確信しているというか、感じていることが二つあります。一つは私が生きている間に人間がガンを医学的に克服するということがほとんどないだろう、ということです。もう一つは自分がそう遠くない時期に確実に死ぬだろうけれども、そのことが分かったといって、そうジタバタしなくても済むんじゃないか、ということなんです。つまり、ガンというものはしぶと過ぎるほどしぶとい病気なんです。それは言ってみれば生命そのものがはらんでいる一つの避けられない運命という、そういう側面を持っている、ということなんですね。そうであるなら、全てのガン患者がどこかでガンという病気を、人生の残り時間のすごし方について折り合いをつけなければなりません。僕の場合、残り時間のすごし方はいたずらに頑張って人生のQOLを下げることではないだろう、と思うんですね。人間はみな死ぬ力を持っている、ということです。死ぬ力というと言いすぎかもしれません。死ぬまで生きる力、と言った方が良いかもしれません。非常に単純な事実ですが、人間はみな死ぬまで生きられるんです。ジタバタしてもしなくても死ぬまでちゃんと生きられます。その単純な事実を発見して死ぬまでちゃんと生きることこそガンを克服する、ということではないでしょうか」


番組最後での立花隆の言葉。


やはり自分はガンという言葉の重々しさが嫌いだ。
だから永六輔の「ガンじゃなくてポンにしろ」に強く共感するのである。