『NHKスペシャル ヤノマミ 奥アマゾン 原初の森に生きる』を見る

14歳で妊娠出産した少女の赤子を木の葉でくるんで木に吊るし白蟻に食べさせて燃やす"嬰児殺し"(彼らは"精霊のまま天に返す"と表現する)を行う映像はもちろん衝撃的ではあったが、それ以上に子供がイノシシの胎児を玩具のようにこねくり回して遊んだり、猿の頭蓋骨を美味しそうにしゃぶる映像のインパクトは凄まじいものがあった。ヤノマミ族の子供は4〜5歳まで名を持たず、男子はモシ、女子はナ・パタと呼ばれる。これは生殖器そのものを指す言葉なのだが、女性には「偉大な」を意味するパタが付けられている。またヤノマミとは「人間」の意であり、外部の人間たちを「ナプ」と呼んで人間扱いしない、いわゆる選民意識を持った民族である点も興味深い。緒方拳の重厚なナレーションが素晴らしく、映像も余計な装飾を一切しないストイックな演出でNHKドキュメンタリーの質の高さに改めて感心させられた。


森で生まれ
森を食べ
森に食べられる

彼らはただ、それだけの存在として森の中にあった。

ヤノマミ・・・それは人間という意味だ。