『フード・インク』 ■■■

監督:ロバート・ケナー

ファーストフード革命による食品企業の巨大化と独占、そして食の大工業化がアメリカにもたらした弊害の数々を暴いていくドキュメンタリー。不法移民の労働者問題、0-157による感染問題、遺伝子組み換え食品、クローン家畜、高果糖コーンシロップ*1等々。高果糖コーンシロップは日本でも大量に生産、消費されている甘味料であり過剰に摂取し続けることで肥満や成人病になる。注目すべきは大人だけでなく子供への影響も大きくなっている点で、2000年以降に生まれたアメリカ人のおよそ3人に1人が糖尿病予備軍(マイノリティ層では2人に1人)というデータもあるという。作中に出てきたあるヒスパニック系家族の父親の、生活費を抑えるためにマクドナルドを食べているが糖尿病を患っているため症状が進行し、薬代が上る一方という本末転倒な状況に悩んでいる姿は高果糖コーンシロップ問題の象徴的な一コマだろう。大量生産され安価になり大量消費された挙句に糖尿病患者が増加し医療費が増大していくという皮肉。しかし日本はいま高果糖コーンシロップ以上に放射能汚染食品の問題が深刻だ。これについてのドキュメンタリーはこれから出てくることだろう。あまりゾッとしない話ではあるが。

フード・インク [DVD]

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*1:以前見た『キングコーン』(http://d.hatena.ne.jp/v-erice/20100301/p2)は高果糖コーンシロップに焦点を当てたドキュメンタリーだった