『カヴァレリア・ルスティカーナ』

演出:フランコ・ゼフィレッリ

マスカーニの歌劇を映画的に表現した、いわゆるオペラ映画。『カヴァレリア・ルスティカーナ』と言えば間奏曲。チアン・ウェンの『太陽の少年』や『ゴッドファーザー?』でも印象的に使われていた何とも美しい旋律を持った曲です。でもオペラの方はというと、これがもう浮気を題材にしたドロっドロの愛憎悲劇なんですね(笑)。何でも本作は19世紀のイタリアで一世を風靡したヴェリズモ・オペラという現実主義的なテーマを扱ったオペラの代表作なんだそうです。イタリア映画のネオ・レアリスモは、こういう文化的土壌から半ば自然発生的に生まれてきたものなのかもしれません。『カヴァレリア・ルスティカーナ』とは「田舎の伊達男気質」という意味なんだそうです。オペラの見所としては中盤、夫婦が感情的な激しい口論をする二重唱の場面でしょうか。曲は地味なものばかりで、やはり間奏曲だけが突出している印象を受けます。この曲はもはや避けられない悲劇に対する人間の無力さと哀しみを表現したものだったんですね。映画と言っても本物のオペラ歌手が歌い演じているので主要人物はみんな恰幅の良い方ばかりでした。そこはかとなく違和感あったかも(笑)。