『アバウト・シュミット』

監督:アレクサンダー・ペイン

アメリカ映画らしい笑いとペーソスに溢れた良質の人間ドラマ。作風はサム・メンデスの映像感覚にコーエン兄弟のオフビート感覚を足して二で割った感じ(笑)。今回のジャック・ニコルソンはひたすら抑えた演技に徹している。「永遠のデンジャラス・パーソン」も劇中のシュミットさん同様引退ということなのだろうか。ちょっと寂しい。でも彼が偉大な俳優であることに変わりはない。相変わらず素晴らしい表情と声。それとキャシー・ベイツも忘れ難い。太った裸体を堂々と晒す入浴シーンはお見事。その包容力の大きさはニコルソンのみならず観る者をも優しく温かく包み込んでくれる。