『偶然』

キェシロフスキ祭、第3夜目。

監督:クシシュトフ・キェシロフスキ

3つの「if」によって描かれる青年の運命の顛末。撮影当時の混沌としたポーランド情勢に対する怒りとも絶望とも取れる痛烈なアイロニーに満ちた恐ろしい悲劇だった。非常に重苦しい内容ではあるけれど、そこはやっぱりキェシロフスキ、多くの素晴らしい細部が、映画の快楽のツボを心地良く刺激してくれる。転がるコインと浮浪者の顔、駅ホームの移動撮影、奥行きのある構図、階段をのっそり下るバネの玩具、ジャグリングをする二人の男、巨大な眼鏡などなど。3つの「if」でそれぞれ主人公に深く関わる3人の女優もすこぶる魅力的だ。最後、離陸する飛行機を背面から捉えた望遠ロングショットの美しさ!それだけに「直後の大爆発、墜落」には息が止まった。しばし呆然。

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盤質。『アマチュア』とほぼ同じ印象の画質でした。音も同様。