『人生は、時々晴れ』

監督:マイク・リー

真っ暗闇の家族生活にトドメを刺さんと襲いかかる不幸な出来事が、思わぬ化学反応を起こして、一筋の希望の光をもたらす。どん底からの逆転劇をペーソスたっぷりに描いたマイク・リーならではのビターな人生讃歌。生々しいアップショットや、突発的な感情の発露、深刻なのに、どこかユーモラスな人物造形など、同監督の『秘密と嘘』再び、といった印象を受けた。一対一ないし複数による会話シーンがとにかく濃密で迫真性に富んでいる。それがマイク・リー独特の即興演出と見せない脚本の所産であることは疑いようがない。何ら小細工を用いない普通に良質の映像だからこそ、人と人とのコミュニケーションがある種のスペクタクル性を帯びて目と心に突き刺さってくる。終始悲しい顔をした夫婦を演じるティモシー・スポールレスリー・マンヴィルが素晴らしかった。