『人間は何を食べてきたか 第7巻』

今回から新シリーズ。1本目は中国・貴州省に住む少数民族・苗族のモチ米崇拝を紹介。収穫量の少なさと10万分の1という確立で誕生した変異種であるモチ米の神秘性が、土着的な宗教の儀式性へと結び付いているんですね。粘りの強いモチ米を好む民族は長江以南の地域と日本にほぼ限定されているという事実も興味深かったです。そういえば日本でもモチ米を使った料理は、冠婚葬祭との結び付きが強いような気がします。また、朝から農作業をするのに朝食を取らず、お昼にドカ食いするという食習慣も面白かったですね(若い女性などドンブリ飯を平均で4杯も食べてしまう!)。ちなみにモチ米は結婚の結納品であり、豊かさの証としての役割をも担っています。2本目はアフリカ南部のボツワナ共和国カラハリ砂漠に住む人々の驚くべき生態を紹介。雨季の雨量が多くても400㎜程度しかなく、川も井戸もない不毛の大地に、水を生み出してくれるスイカの存在。雨季の終わりと共に成長し、乾季のあいだ腐らずに保存できるというまさに奇跡のような植物です。このスイカは水だけではなく、食料、お酒、その他の生活用水として人間が生きる為のあらゆる恵みを与えてくれるのですが、たった一種の植物に依存して暮らす人々の姿を見ていると、自然と一体となった人間の適応力の凄まじさに感嘆しつつも、何か超越的なチカラによって人が生かされているのでないだろうか?と感じずにはいられない、恐ろしいような神秘的なような思いが同時に湧き上がってきましたねぇ。殺した獣の乳を一心に吸う少年の姿も印象的。真夏の運動後以外には水の有難さなんて感じられない今の自分にとっては何とも新鮮かつ驚異的な世界でした。