『細雪』

監督:市川崑

・・・観なければ良かったかも(泣)。以下、悪口。

・電子オルガン調の「オンブラ・マイ・フ」が絶望的に合っていない。
・原色の照明を多用しているせいかギトギトして品のない映像。
・貧弱なユーモア感覚(これが最も致命的でしたね)。
・長女役の岸恵子が存在感ありすぎ(原作ではいないも同然の扱い)。
・次女役の佐久間良子が存在感なさすぎ(原作では堂々たる主役っぷり)。
・貞乃助が単なる人の良いスケベ男になっている(雪子に対する態度も露骨すぎる)。
・あまりにもこれみよがし的な着物のアップショット(あざとすぎて滑稽ですらあります。一番こだわっている部分だからこそサラリと見せて欲しかったです)。
・恐ろしく凡庸なラスト(思わず呆然。原作では谷崎一流のユーモアで締めくくられるのに・・・)。

どうやら市川崑のモダン感覚(?)と「細雪」の相性はすこぶる悪かったようです。本来序盤で描かれる筈の長女の東京行きを物語の最後に持ってくるのは脚色しすぎだと思います。四姉妹モノということで各人をバランス良く登場させたかったのでしょうが、岸恵子の輝きが強烈なのでかえってバランスを悪くしているような気がしました。それと尺の制約とは言え、隣人のシュトルツ一家との交流や、蛍狩りのエピソードは入れて欲しかったですねぇ。まあ本音を言うと一番観てみたかったのは大洪水の場面なんですが。何せ私の大好きなキャラであるお春どん最大の見せ場なだけに。


でも全部が全部嫌いなわけではありません。以下、好きなところ。

・京都の桜(小説が逆立ちしても敵わない、これぞ映像の強み)
・妙子役・古手川裕子の入浴シーン(な、な、なんと言うキュートなおっぱい!!笑)。
・女中・お春を演じる上原ゆかりの素晴らしさ(本作で最も良かった点。表情と声が絶品。後半は「もっとお春どんを映せーっ!」と心の中で叫んでいました笑)。
・三女・雪子の不気味にエロティックな存在感(原作よりも生々しい感じだけれどこれはこれで良いと思う。映画ならではの味?吉永小百合も予想に反してなかなかハマッていました)。
・女優陣の見事な着物の着こなし(さすがとしか言い様がありません)。
三宅邦子の迫力(チョイ役ながらその貫禄たるや!)。


結論。。。小津安二郎の「細雪」が観てみたかった。