本を読んでいたら無性に『オズの魔法使』が観たくなったので鑑賞。やっぱり良いですね。いかにも無邪気なおさげ髪の少女(と言っても撮影当時16歳)が遠くを見詰めながら"虹の彼方に"を歌い出した途端に映画の雰囲気がガラッと変わってしまう、その瞬間がたまりません。予算の関係でモノクロになったというカンザス・シークエンスですが、それがカラフルな世界に迷い込んでしまったドロシーの素晴らしい表情のクローズアップに繋がります。歴史に残るような名作は偶然さえも味方にしてしまうんですね。本作にはジュディの魅力的なクローズアップが随所にあって、中でも東の魔女の死体を見た時の驚きの表情と、カンザスに帰れないと泣き出すシーンのクローズアップは強く印象に残ります。黄色いレンガの道を不安げに歩くドロシーが突如ステップを踏んで"We're Off to See the Wizard"を明るく歌い出すシーンの唐突さも大好きですね(笑)。思わず一緒になって微笑んでしまいます。それと3人(?)の仲間、それぞれ個性的な性格とメイクが特徴ですが、何よりも目の演技が絶品で、その味のある表情豊かな目を観ているだけでも飽きません。あとは何と言っても西の魔女を演じるマーガレット・ハミルトンですね。魔女と言えばハミルトンってなくらい超ハマリ役。余談ですが、かのグレアム・グリーンジュディ・ガーランドよりも魔女の方がお気に入りだったそうです。