『ブラウン・バニー』

監督:ヴィンセント・ギャロ

ん〜期待外れ。ストイックな映像と繊細な演技(人によっては正反対の表現になるであろう類の)、そして「物語のない物語」の語り口がすべてギャロ本人の自己満足で完結しているのがあからさまに感じられてしまうという時点でこの作品は言葉の真の意味でのプライベート・フィルムに過ぎないのだと思う。前作のラストはある意味痛快だったけれど、本作のラストには気の抜けた笑いが出るだけ。ただ、移動する車内から見えるハイウェイや街の風景には心を惹かれるものがあった。しかし昔のヴェンダースジャームッシュと同じ資質があるのではなく、あくまでも表面的な映像センスに似たものを感じさせるだけという、このいかがわしさ、小物っぷりが如何にもギャロらしい(笑)。究極の俺様映画だけに、好きな人はとことん好きになるのかも。すぐに冷めるような気もするけれど。