『罠』

監督:ロバート・ワイズ

八百長ボクシング物。72分という尺の中に見事な人間ドラマが凝縮されている。ボクサー達が控え室で見せる様々な悲喜交々の表情が面白い。主人公ロバート・ライアンの演技も味わいがある。それにオードリー・トッターの地味な存在感とのマッチングが絶妙だった。クライマックスの試合はモノクロだけに迫力はあるのだけれど、泥試合風の稚拙な殴り合いに見えなくもない演出にはどちらかというと滑稽さの方が先だっているようにも感じられた。ハリウッド黄金期のB級映画の秀作。