『捜索者』 ■■■■■

v-erice2005-01-21


監督:ジョン・フォード

本作のオープニングは今までに観た西部劇、いや全ての映画の中でも最高かもしれません。人物配置と風で揺れる服の感じが信じられないくらい美しいんですよね。他にもジョン・ウェインの出立を見送る場面の構図と青い空と雲、ジョン・ウェインの鬼のような形相、物凄い急斜面を駆け上がる馬、高く積もった雪の中を馬が進む場面、突撃する騎馬隊を移動撮影で捉えた場面、とにかく素晴らしいショットの宝庫です。そしてオープニングに勝るとも劣らないのが、ナタリー・ウッドを抱き上げるジョン・ウェインのショット!それまでの物語の流れが一点に集約して爆発したような唐突にしてあまりにも感動的なイメージ。一瞬キョトンとなるナタリー・ウッドの表情に目頭が熱くなって、「Let's go home」、ジョン・ウェインの言葉で堪えきれず涙が・・・。凄まじい復讐の物語ですが、随所にユーモラスな描写が出てくるところが如何にもフォードらしくて良いですね。扉の内側(家庭)ではなく外側(アウトサイダー)に居続けるしかない男の孤独な後ろ姿が切ない。本作に対して「人種偏見」「先住民虐殺を正当化している」といった映画的感性を疑いたくなるような的外れな意見が案外多いのは残念なことです。フォードは劇中の人物に一言こう呟かせています「すべてはこの国のせいだ」と。シンプルな言葉に込められた深い悲しみと自己批判。本当に美しい西部劇です。