『サリヴァンの旅』 ■■■■

監督:プレストン・スタージェス

いや〜素晴らしい!これはバックステージ物の大傑作ですね。冒頭の映画中映画から抜群に良いです。列車上での決闘(とても教育映画とは思えない!笑)。でもキャプラのような映画ではなく硬派な映画を撮りたいサリヴァンは社会勉強のために旅をすることになり、次から次へ、ありとあらゆる映画ジャンルを想起させるような劇的な体験を重ねていきます。旅の初め、子供が運転する軍用車サリヴァン専属の部下たちが乗ったキャンピング・カーが繰り広げる追走劇の出鱈目なスピード感と面白さ。女優志望のクール・ビューティとの粋なやり取り。「ルビッチの映画に出たいわ」「ルビッチなんて知らん!」。知的で洗練された会話のユーモアも本作の大きな魅力です。そして荒唐無稽な展開から一転刑務所内上映会の感動的なクライマックス。畳み掛けるように映し出される囚人たちの笑顔のアップが素晴らしいですね。サリヴァンは"笑い"の力に圧倒されそして目覚めます。力強い見事な演出。この作品はスタージェス自身であるサリヴァンが作家としてのアイデンティティを発見するまでの物語であり、喜劇讃歌を高らかに謳った映画でもあるんですね。