『サイドウェイ』 ■■■

監督:アレクサンダー・ペイン

オッサン二人によるワイナリー巡り、あるいは女探しの旅。全編にわたってワインが出てきますが、伊丹映画のように人間より知識優先というハウトゥもの的な語り口ではなく、あくまでもメインは人間ドラマでワインは添え物でしかないところに好感が持てます。勿論ワインの熟成が中年男女の人生の比喩になっていることもポイントです。それとアレクサンダー・ペインの郊外へのこだわり。前作『アバウト・シュミット』も舞台は郊外でしたが、高層建築がない土地の空の拡がり、すなわち空間の広大さが、精神的な開放感とでも言うべき心地良さを感じさせてくれます。これは私の大好きな西部劇の映像世界に通じるんですよね。トーマス・ヘイデン・チャーチの性懲りのなさが最高。