『ひまわり』 ■■□

監督:ヴィットリオ・デ・シーカ

これはもうヘンリー・マンシーニの一人勝ちでしょう(笑)。これがあの『自転車泥棒』の監督かと思いたくなるような通俗的な演出に戸惑い、これがあの『若者のすべて』や『白夜』を撮ったジュゼッペ・ロトゥンノかと思いたくなるようなせせこましくて落ち着きのないキャメラワークに呆然となりました。マストロヤンニとソフィア・ローレンが雨の降る夜、暗い部屋で再会するシーンのロー・キー画面のクローズアップがとても良いのですが、蝋燭に火を点すと不自然なまでに画面が明るく(もちろん照明によって)なってしまい、ローレンが「私も老けたでしょ」と呟いた後、マストロヤンニに蝋燭をかざして「あなたもね」と言うショットが妙に白々しい雰囲気になってしまうところが個人的には残念でしたねぇ。最後のプラットフォームのシーンでも「さあ泣いて下さい!」とばかりに鳴り響くマンシーニの音楽には感動するどころかそのあまりの盛り上がりぶりにかえって冷めてしまったのでした。