『クレヨンしんちゃん 電撃!ブタのヒヅメ大作戦』 ■■■□

監督:原恵一

いやいやいや、これも佳作だ。特筆すべきは"お色気"というキャラの造形とアクション演出の素晴らしさ。三石琴乃の演技力によるところも大きいが、彼女の作画は明らかに他のキャラよりも力が入っているのが分かる。敵役の一人を山寺宏一が演じていたり、秘密結社の組織員の制服が劇場版エヴァに出てくる戦自のデザインに酷似しているなど、製作当時に絶頂を迎えていたであろうエヴァ現象の影響を感じさせた。ちなみにSHAZUNAのIZAMがゲストキャラで登場し、しんのすけ山田まりあの名前を口に出すといった時代の刻印もある。そしてもう一人(匹?)の重要キャラ・ぶりぶりざえもんの存在も忘れてはなるまい。後半の主役と言っても良いこの愛すべきブタの魅力のほぼ全てを担っているのが今は亡き個性派声優・塩沢兼人だ。このキャスティング・センスは真に驚愕に値する。「早く舐めろ、尻が冷える」や、しんのすけとのオチンチン対決に爆笑しつつ、あくまでもクールかつセクシーな塩沢ボイスに聞き惚れるのだ。不慮の死が本当に悔やまれる。