NHK・BS『手塚治虫・現代への問いかけ 1』を見る

「手塚漫画で描かれる悲劇は単なる悲劇ではなく"偉大なる悲劇だ"」高橋源一郎
手塚治虫の作品は今も昔も私を形成する現実の一部として存在している」萩尾望都


番組の最後に放送された『鉄腕アトム』の最終回「地球最大の冒険」。これ全編通して見るのは実は初めてだったのだが、まるで取ってつけたかのような非常に唐突かつ強引なストーリー展開には少々面食らった。前半部などほとんどギャグと言っても良いタッチで描かれていることにも驚いた。というのも今まで太陽に突入するアトムのシーンばかりを「懐かしのアニメ」特集番組などで見ていたせいで、とにかく悲しい話というイメージが刷り込まれていたからだ。ロボットのアトムが、人間ではなく地球のために自己を犠牲にするラスト。「ああ地球って青くって本当に綺麗だなあ」という言葉を残してアトムは太陽へと突入していく。人類はそのとき、地球を見限ってさっさとロケットで逃げ出していたのだ。手塚治虫の人間に向けられたシニカルで辛辣な眼差し。


番組を見て早急に読みたくなった手塚作品リスト。
新選組
『紙の砦』
ブッダ
火の鳥