『川の光』 ■■■□
監督:平川哲生
河岸工事で住処を追われたクマネズミ一家が新天地を目指す苦難の旅路を描いたエグゾダスもの。『幌馬車』や『怒りの葡萄』のネズミ版と言ったところか。ネズミとは言っても人間の言葉を喋り人間の親子のように振舞う彼らは、言わば動物の姿をしたヒトであり、それによって生じる親和性がネズミの世界の童話への感情移入を容易かつ自然なものにしている。旅の途上で出会う様々な善なる動物たち、中でも図書館に隠れ住む孤高のドブネズミ・ポエマー・グレン(演じるのは大塚明夫!こんな格好良いドブネズミは見たことない)と、老女と暮らすロシアンブルーのブルー(田中敦子演じる母性的で知的なネコ)が素晴らしく魅力的だった。正攻法の丁寧な演出(原恵一が補佐役で参加している)と山本二三の美しい美術、他者から他者へ優しさが伝播していく"正の連鎖"のドラマに心が温かくなった。ちょっと前にブックオフで100円で購入した原作本も今度読んでみよう。
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