「エヴァ復活祭」第13夜

第弐拾伍話「終わる世界」(英題:Do you love me?)

2部構成の前編。本エピソードから突然エヴァは物語ることを止め、主要キャラたちによる心の補完が描かれていく。多くの謎を放置したまま主要キャラによる内面対話劇が展開されていくが、最後でこれはシンジの閉ざした心が作り出したもう一つの現実世界であることが分かってくる。この閉鎖的空間は舞台と照明がある学校の体育館のようなデザインになっている。このイメージは恐らく「24人のビリーミリガン」(エヴァにハマッた人は必読!)で、24の人格の一つがスポットライトに当たることによってビリーの主人格になる描写が元になっていると思われる。英題は精神科医R・D・レインの詩集「好き?好き?大好き?」(これもオススメ)の原題。

[我的EVA言行録]

特になし


第弐拾六話「世界の中心でアイを叫んだけもの」(英題:Take care of yourself)

後編となる本エピソードは碇シンジが閉塞した世界の殻を破り、アイデンティティを獲得するまでを極めて実験的な演出で視覚化している。物語の帰結を描くには時間的余裕がないので敢えて断念し、主人公の自己を確立させることで、作品のテーマである「人の心」についての庵野監督なりの答を出しておこう、ということなのだろう。それにしても最後の最後で作り手自身がここまであからさまに自己の内面を吐露するとは、何とも唯我独尊というか傍若無人というか(笑)。これだけ視聴者を置いてきぼりにすればそりゃあ批判されても仕方がない。ただ、アニメでありながらアニメであることから逸脱していこうとする演出の数々には戸惑いながらも圧倒される。こういう表現を商業アニメでやってしまうところが、エヴァンゲリオンという作品の非凡さであり、魅力でもあるのだ。ラストに出てくるシンジの笑顔とメッセージは劇場版にはないある種の清々しいカタルシスがある。英題は監督自身と他者に向けられた言葉だろう。結末を描かずに「ご自愛ください」もないだろうけれど(笑)。劇場版が作られた今だからこそ冷静に見ることができる「一つの終局のカタチ」である。

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「おめでとう」by主要キャラ一同