『浮草』

監督:小津安二郎

「彩」と「艶」の映画。色彩と女優の"粋"が堪能でき、中村鴈次郎の"芸"に嘆息させられる映画。大映で撮っているからか、所々に小津調らしからぬ演出(俯瞰映像、黒澤ばりの豪雨、過剰なキスシーンと暴力シーン)があって、それが他の小津作品とは違う一種異様な雰囲気を醸し出している。全編の至るところに"赤"が配置されているのも印象的。そして何と言っても若尾文子の魅力。あまりの美しさ、可愛らしさに思考停止。彼女に誘惑されてコロッといっちゃう川口浩に激しい共感と嫉妬の念が交錯した。また絶品だったのが杉村春子(本作では妙に艶っぽいというか女性らしい色気がある)と中村鴈次郎のやり取り。ちょっとした間の取り方や細やかな所作、微妙に変化する表情など実に見応えがある。杉村春子とは対照的な女性を演じる京マチ子の存在感もお見事。

 川口浩を瞬殺した文子スマイル。眩しいです。

[怒る鴈次郎三連発]

 若尾文子をサブミッションで折檻。ちょっと倒錯的なエロ入ってます(笑)

 京マチ子を平手打ち連打で折檻。鴈次郎激しすぎ。肩で息してるし…。

 「ドアホっ!」と若尾文子の背中を蹴っ飛ばして折檻。ひ、酷い…。