『攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX 13』

ようやく借りることができました。最後を飾るに相応しい劇的な、そして攻殻らしい虚虚実実を尽くした見応えのあるエピソード2本でしたね。1本目のタチコマには泣けました。感傷とは無縁のクールな作品だっただけに最後の最後で情緒的にこられるとやっぱり効いちゃいます(「タチコマな日々」のAI戦隊タチコマンズには大ウケ)。そして最終話。最も感情移入できるキャラであるトグサを狂言回しに進行していく九課の鮮やかな逆転復活劇を前半で描き、後半は"笑い男"と素子による事件と「STAND ALONE COMPLEX」についての対話(例によってセリフの量が凄いことになっている)という構成の妙がお見事。政治的陰謀、サイバー・テロ、社会現象などを取り扱い、同時に、正義とは?、AIと自我、高度に発達しすぎたネットワーク社会における"個の抑圧"という今日的なテーマを盛り込んだ実に骨太のアニメでした。この作品で何と言っても素晴らしいのは練りに練られた脚本です。複数の脚本家が合宿まで行って仕上げられたストーリーはいずれも完成度の高いものでした。特にシリーズの軸となる"笑い男"のプロットは絶品だと思います。優れた脚本というのは、やっぱり複数人による綿密なディスカッションによってこそ得られるものなんですね。この時代に作られたアニメとしてはまず第一級の傑作と言っても過言ではないでしょう。繰り返しの鑑賞に耐えられる(というより繰り返し観てこそ面白味が増す)今日日稀なアニメ作品でした。ちなみに今、衛星で放送中の2ndシリーズのテーマは「難民とテロ」だそうです。う〜ん、どデカイなぁ(笑)。