『人間は何を食べてきたか 第1巻』

世界中の食文化を追ったドキュメンタリー。最も基本的な食物を紹介していく序章的なドキュメント「NHK特集 食のルーツ・5万キロの旅」、そして本章である「肉」と「パン」の2編が収録された見応えのある構成になっています。一番興味を引き、かつ鮮烈な印象が残ったのは、ドイツのとある農家で行われる豚の屠殺〜解体作業を詳細に捉えた映像です。TVで見るマグロの解体には技術に対する感動以外のものは感じませんが、豚の解体では何か後ろめたいような残酷なような複雑な気分になりました。今では当たり前のように獣肉を食べる日本人ですが、昔の「薬喰い」などと称して陰でこそこそ細々とやっていた時代の残滓がこのような感情を起こさせるのかもしれません。それに豚の内臓はどうしたって人間の内臓を連想させます(笑)。確固たる肉食文化を持つ民族とそうでない民族の感覚の相違なのでしょうか。マグロの解体を見ても残酷だとは思いませんからね。それにしても、解体職人の手際の良さ、見事な包丁さばきには、思わず唸っちゃいました。スゴッ。