『人間は何を食べてきたか 第6巻』

今回は「海と川の狩人たち」の川編2本。1本目はアフリカのニジェール川流域でキャンプを張りながら漁(主な獲物はナマズ)をし、それを米や現金に換えながら生活する移動漁民ボゾ族のとある家族の奮闘ぶりを紹介しています。彼らが作る料理、燻製にした魚を米で包み込んでから堅めに握ったものは、日本の「オニギリ」や「握り寿司」を彷彿させて興味深かったですね。彼らはこの料理だけを毎日食べます。日々が生きる為の闘いと言っても良いボゾ族のあまりにもシンプルな食文化と、飽食ニッポンの多様多彩な食文化はまさに両極端、彼らにとって食は楽しみではなく生命を繋ぐものなんですね。食事をする彼らの表情は一見無邪気だけれど、目付きは鋭く、そして真剣そのものでした。2本目は北米・カナダの北西海岸に住むクワキウトル・インディアンのサケ漁と、北部一帯に住むイヌイットエスキモー)の北極イワナ漁を紹介。彼らは大昔にユーラシア大陸から移動してきて定住したモンゴロイドの末裔で、外見的には日本人とほとんど変わりありません。クワキウトル・インディアンの、命を育んでくれるサケを人間のもう一つの姿(水の底にはサケ人の国があり、双子の片割れはサケ人の生まれ変わりとして大漁をもたらすとされている)であるとして敬い奉る風習が面白かったですね。魚が船で暴れないように銃(!)で頭を撃ち抜くオヒョウ漁の描写も迫力がありました。そしてイヌイット。北極イワナの身をナイフで切り取り、生のまま調味料も何も付けずにほお張る姿が印象的。寄生虫も死滅する(?)極寒の地ならではの豪快な食事でしたね。