『王立宇宙軍 オネアミスの翼』のコメンタリーを見る

明日27日の池袋テアトルダイヤでの特別上映に備えて予習。そのTLコピペ。

Thu, May 26

  • 20:23  というわけで、酒とツマミの準備ができたら北米盤DVD『オネアミスの翼』のコメンタリーを見よう。
  • 20:24  ちなみにコメンテーターは山賀博之赤井孝美。なぜか北米盤DVDのみ収録されている。画質は酷いし、二層目切り替え時にフリーズするへっぽこ仕様だが、このコメンタリー収録はそれを補って余りある価値がある。
  • 20:39  この北米盤の特典の凄さはコメンタリーだけでなく、メモリアルボックスLD(何を隠そう初めて買ったアニメのレーザーディスク!)に収録されていたイメージボード+サントラの特別PV(約80分)までもが収録されていること。まあそのせいで本編の画質が犠牲になっているわけだけどw
  • 20:54  大西信之の絵と坂本龍一のテーマ音楽、何度見てもシビれるオープニングだ。
  • 21:07  山賀「極力アニメの常識から言ったら変わった人を入れていこうという努力をした」 ←大西氏、坂本氏、森本レオの起用について。
  • 21:07  一風変わった遊郭のデザインは赤井氏によるもの。
  • 21:10  オネアミス大友克洋押井守に少なからず影響を与えた。
  • 21:10  若気の至り的な演出の数々w
  • 21:11  赤井「実験的手法の見本市」
  • 21:17  リイクニ役の弥生みつきさんは新人だったのか。この人の声は好きだ。リイクニと「逆襲のシャア」のチェーン・アギ役の声優として特別な思い入れがある。
  • 21:20  当時、弥生さんは劇団の研修生で、たまたま山賀監督が聴いていたラジオドラマの端役が耳に止まってリイクニ役に抜擢されたのだとか。
  • 21:21  トップをねらえ!」のお姉さま役の佐久間レイも推挙だっららしい。
  • 21:23  山賀「なんでこんなにカット割ってるんだろう。今なら2分の1で済んでるなあ」←シロツグとリイクニの会話シーンで。
  • 21:28  赤井「スタッフは若くて野心もあって能力も高いけど、業界的に認められてない、つまり作品のキャラクターにかぶるような連中ばかりだった」
  • 21:31  赤井「間の抜けた感じの間がことごとく上手くいってない。若さの焦りというかw」
  • 21:35  赤井「街の中の雑然とした感じの背景、東京生まれの小倉さんならではの美術」
  • 21:38  山賀「当時のスタッフをこの場に集めたら10人が10人みんな気になるところが違うよねw」
  • 21:41  山賀「一番最後のリテイク、あと100カット直しましょうって時に、ボクがここは直したいってところが通ったのが3カットしかなかった、監督なのにw」
  • 21:44  山賀「ある程度放任でやらせてたら、最後のほうは誰も言うこときかなくなってたw」
  • 21:47  赤井「ジャンクの山の背景が綺麗ですよね。淡い、色彩豊かで。菊池さん(美術)の面目躍如ですねえ」
  • 21:48  赤井「お菓子箱のような」
  • 21:50  山賀「アニメでリアルな年寄りを出すというのもあまりないことでw しかもこれだけ大人数出てくる。大変だったよけっこうw」
  • 21:59  山賀「樋口真嗣君のようなアニメは初めてです!という人が助監督の位置にいると本当にいろんな細かいところ、アニメの人が絶対やらないようなことをやってくれるから・・・」 赤井「楽しかったですよね」 山賀「うん」
  • 22:01  赤井「この機関車のシーン、広告でなぜかバイオ機関車って書かれてたんだけど、ただの蒸気機関車だっつーにw」
  • 22:04  赤井「ある程度ベテランで力量のあるアニメーターの人をこの作品やってくださいって頼むと、こんなのアニメでやる意味ないじゃないか!って断られちゃったりとか」
  • 22:07  赤井「当時多かった批判として、本当は実写で、ライブアクションでやりたいんだけど、お金がないので、その代用品としてアニメでやってんじゃないか、ってのがあったしね」
  • 22:09  山賀「機械関係のデザインは上手くいったと思うんだよな〜」
  • 22:13  赤井「宇宙機の中に微妙にカワイイ色が入ってるのって、美術でタッチをやった谷口久美さんが、女性でオシャレな人だったってのがあるでしょう」 山賀「大きいねえ」 赤井「何かメイクしてもらったって感じで」 山賀「そうそう」
  • 22:18  リイクニが配っている聖典のイラストは学生バイトの河野くんによるもの。
  • 22:21  ロケットエンジンをふかすシーン。山賀「もっと動かしたかったんだよなあ。「紅の豚」で同じようなシーンがあるじゃない?あれいっぱい動いててイイな〜って思ったんだよw」
  • 22:27  山賀「博士の唐突な死は(構成的に)上手くいったところかな」 赤井「博士の葬儀シーンは教科書的な良いカメラワーク」
  • 22:30  ニュース映像は樋口助監督によるもので、DAICONのときに使っていた8㎜キャメラで撮影している。ちなみにこの映画で一番最初にあがったカット。
  • 22:35  徳光和夫は日テレとのタイアップの関係で起用された。ただ、後から言われたので良い役をあてることができなかった。
  • 22:38  マーティが読む新聞の文字はちゃんと作画で書かれていたらしいが、見事に全部潰れているw
  • 22:40  あんまり動かす必要がないシーンで激しく動いているのは、宮崎アニメのアクションに憧れていた新人アニメーターが描いているから。
  • 22:42  国防総省の衛兵の号令は赤井孝美の特別出演。
  • 22:43  赤井「僕らは手だけ付けて極めてないよねw」 山賀「まあ極めるのはあまり好きじゃないからw」
  • 22:46  山賀「電線には懲りましたね。この後、庵野くんが突き詰めたけど。ガイナックスが極めたのは電線くらい?w」
  • 22:50  シロツグにインタビューする小太り眼鏡の記者は北久保弘之がモデル。この頃は太っていたと山賀。
  • 22:54  赤井「おでこにストロボ付いているの、バカみたいで良いよねw」 山賀「だれが思い付いたんだっけ?樋口くんだ。頭に付けるのどうですか!っていきなり聞いてきたようなw」 赤井「バカアイデアは真ちゃんって感じだねw」
  • 22:59  山賀「リイクニは見た瞬間おかしな人に見えるような設定だったが、思ったよりも作品世界に馴染んだキャラクターに結果としてなった」
  • 23:06  リイクニのブーツから不意にお金が飛び出すシーン。ファンの間で未だにリイクニ売春説が語られる疑惑のシーンだが、監督曰くまったく関係ないとのこと。
  • 23:14  あの江口達也が描いた、今となっては伝説のシロツグがリイクニを犯そうとするシーン。赤井氏曰く、このシーンのセル画はあっという間に現場から無くなったそうである(笑) 誰だ持ってるのは!w
  • 23:15  あっ、江口じゃなくて江川達也
  • 23:18  赤井「ラブロマンスとしてはあくまで悲劇的というか、リイクニは嫌な女で、シロツグは間抜けな男で、この恋愛は大失敗で、って感じなんだけど、ある種人間はすれ違って噛み合わなくても別に良いじゃん、っていうね」
  • 23:21  山賀「映画に男と女が出てくる以上、恋愛だっていうのはどうしても出てくるんだけど、この当時のボクが考えていたのは、これは恋愛じゃない、そういう風に考えてたんだよな」
  • 23:24  赤井「みんなロケット打ち上げに向けて一体化していくんだけど、リイクニみたいに絶対分かり合えなくて絶対に一体になれないものも含んで、自分の中で否定しないで、シロツグは上っていけるっていうね」 山賀「そう、それです。巧く言うな〜w その通り、それをやりたかった」
  • 23:31  山賀「評論家の誰かが、この映画って誰一人他人を理解してない、コミュニケーションが成り立ってない、そこが特徴だって言ってたんだけどね、まったくその通りでね」
  • 23:32  山賀「ぼくの現実の人間関係もそうだっていうところから始まってるんだけど」
  • 23:36  駅でシロツグに襲い掛かるピンクの巨大清掃車は、その前にチラチラと控え目ながら画面に登場していた。
  • 23:37  山賀「上手くいってないところも含めて、この映画の味だと俺は思っている」
  • 23:41  シロツグと宇宙軍司令が話すシーンの巨大彫刻の絵は前田真宏が描いている。
  • 23:49  シロツグとリイクニが駅で別れるシーン。赤井「すれ違いを悲しむんじゃなくて、すれ違えたことっていうか、接したことですれ違えるということをむしろ喜ぼうっていう考え方なわけですよね」 山賀「巧いこと言うねw」
  • 23:53  「ちょ〜〜〜きょだいなハ〜リボッテっとお♪」 大好きなこのシーンのシロツグの歌。森本レオが現場でテキトーに口ずさんだものらしい(笑)

Fri, May 27

  • 00:03  終盤のロケット発射直前の現場の切羽詰った感じは、当時の製作現場とまんまシンクロしいる。
  • 00:13  宇宙軍のロケット打ち上げ現場司令所のデザインは潜水艦内部のイメージ。実際、アメリカの初期の打ち上げの司令所は土の中にあって、潜水艦内部のような部屋だったらしい。
  • 00:16  司令官が打ち上げ中止を決断するシーンを見た宮崎駿「ふつうはあそこで諦めないよ!!!」
  • 00:20  打ち上げシーンの作画はアニメーター庵野秀明の全盛にして最後の仕事。彼が描けないシーンは師匠の板野一郎が手掛けた。
  • 00:24  山賀「このシーンはもう特に何も言うことないなあ」 くぅ〜ここは庵野秀明本人の話を聞きたかったな〜。
  • 00:25  山賀「アポロ計画の記録フィルムをかなり参考にしているので、『ライトスタッフ』と似通う部分はどうしてもある」
  • 00:27  ロケットがリフトオフするシーンのロングショットのセルは通常のカット袋に入らず、カット箱という特製の箱に入れて運んだ。
  • 00:37  最後の人類の歴史が映像の波のように押し寄せるシークエンス。原始人が登場するシーンの右側にいるのは動画検査の鈴木さんがモデル(ってトリビアすぎる)。
  • 00:39  このシークエンスを主に手掛けたのは前田真宏。ナットク。『アニマトリックス』を思い出した。
  • 00:40  ラスト、リイクニが持っているチラシのイラストは山賀監督によるもの。
  • 00:41  リイクニの頭上に雪が舞い落ちるカツト。シロツグが死に、その魂が雪になって降ってきたと解釈する人がいたらしいw 
  • 00:42  シロツグが死んだと思った人はけっこういたらしい。
  • 00:46  エンディングの大西信行の絵はシロツグが帰還したときの記録写真という設定。
  • 01:01  北米盤DVD「オネアミスの翼」オーディオ・コメンタリー終了。備忘録ついでに気になる発言を逐一文字に起こしていったからエライ時間かかったけど、貴重な話が色々聞けて面白かった。明日のオネアミス、本当に楽しみだ。